鈴鹿山脈のピークの一つ、竜ヶ岳のふもと、宇賀渓キャンプ場や登山道の基点となる場所で売店や駐車場もある。
19時ころ、灯火に寄るアリを探したが条件の悪い日で自販機には全く翅アリは付いていなかった。
自販機の真下を照らすと見慣れない翅アリが・・・。
カワゲラかも?
確認のため近づいてみると・・・特徴的な大顎からすぐにアギトアリが思い浮かんだが、まさか?っていう固定観念もあって大混乱。
とりあえずバンダナで包むようにして捕獲。
ケースに入れて明るい場所に移動して確認。
どう見てもアギトアリでした。
別の個体がいないか自販機の周りを中心に丹念に探したが見つからず。
雄アリも見当たらない。
ワーカーも見られないことから至近にコロニーがあるようではない。
数百メートル離れた自販機を2箇所回ったがアギトは見つからず。
ケアリ属など他種も見られなかったことから飛行には不向きな日だったようです。
自然分布か人為的な移入かについての考察
今回見つけた場所はわざわざ飼育遺棄しにくるような場所では無いと思える。
また植物園のように植物の移植が行われることも無く、港湾のように物資が行きかう場所でもない。
自然分布に関する記載を日本産アリ画像データベースから引用
>屋久島では平地より標高1,200 mの高所にいたるまで分布している。 中国では北方でも北京より更に北の,北緯40゜を越える地域においても見出されている(寺西, 1936:ただし寺西のこの報告では本種を誤って O. haematda)と同定している(Yasumatsu, 1962) 。日本国内では2005年に、寺山氏と北出氏により北九州市門司区からの分布記録が報告されている(寺山 & 北出, 2005)。 引用終わり
北緯40度は日本で言えば秋田県や岩手県の北部にあたる。
また屋久島での垂直分布からも少なくとも本州太平洋側の平地や低山であれば気象条件的には生息が可能と思われる。
むしろ生息していないほうが不思議かも。
本州に居ない、または極端に少なくて発見されないのは気象条件よりも別の要因ではなかろうか。
地球温暖化はあまり関連は無いような気がする。
生息条件に関連した記載をニュースから見つけた。
引用元のURL
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120915-00000016-mailo-l14
>アギトアリは東南アジアの熱帯・亜熱帯地域に分布し、日本では鹿児島県の九州本土と屋久島、種子島、口永良部島で生息。人家のそばなど人の生活圏ではほとんど見られず、森林の石や倒木の下に営巣する。
引用終わり
今回の一連のニュースでは上記の一文が含まれていないほうが多かった。
>人家のそばなど人の生活圏ではほとんど見られず、
と言うところがポイントで、生息していても発見されにくいのかも。
飛行時期に関する考察
ニュースでは7月に
>動物園職員が見慣れない羽を持つアリが飛んでいるのを発見して捕獲した。
とある。
9月14日付けで東京の某公園でアギトアリの脱翅・有翅女王を採取したことを記したブログの記事を勝手にリンク。
myrmamblysさんのブログ・ありんこ日誌のURL
↓
http://arinkosan.blogspot.jp/2012/09/blog-post.html
今回の三重県での飛行も併せて、7月と9月は飛んでることが分かった。
自然分布域が北上しているのかいないのか、人為移植なのか、結論を出すのは難しそうだ。
アギトアリに出会うのはかなり珍しいことではある。
もう一度翅アリに出会うだろうか?付近でコロニーを発見できるだろうか?
誰かがアギトアリに出会う確立を高めるために発見場所の地図を貼って置く。
大きな地図で見る
今のところすごく元気です。
昆虫ゼリーを与えたがさっぱり食べる気配がない。
水を含んだティッシュから水分補給しているようには見える。
たまに大あごを開いている。
何かを威嚇しているのか、ケース内に何もいないのに捕食体制か。
小さな昆虫でも与えてみようか。
さっぱり脱翅する気配を見せない。
どうもコロニー化は難しそうだ。
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